日本版のBANKSYと言われる281_Anti nukeについて書いています。
世界を変えた1枚の写真281_Anti Nukeって誰?
281_Anti nukeは日本人の男性で覆面アーティストです。281_Anti nukeの作品はバンクシー を思わせる社会風刺的なものです。
281_Anti nukeは美術の専門教育は受けたことがありません。ですが、元々グラフィティ・アートには興味がありました。なのでバンクシーはもちろん知っていた思われますし、作品を見ると完全にバンクシーに影響を受けていることが分かります。
281_Anti nukeがグラフィティ・アートの世界に登場したのは東日本大震災(2011年)の後です。東北地方太平洋沖地震とそれに伴う福島第一原子力発電所事故による災害をきっかけに出現しました。
281_Anti nukeのストリート作品は印刷したステッカーです。それを電柱や壁、標識の裏側などに貼っていきます。
ステッカーという手段を取っているのは、やはり作品は予め印刷してあるので、貼るだけで、時間がかからないという理由からです。
数秒で終わるので捕まる可能性も低くなります。バンクシーもステンシルという手法を取る理由として「現場での制作時間の短縮」をあげていますね。
281_Anti nukeの意味は?
281_Anti nukeの名前の意味を知ると、どうして日本のバンクシー と呼ばれているのかが分かります。
281_Anti nukeは『にいはちいちあんてぃぬーく』と読みます。(読み方がわからない方も多いのではないでしょうか?)
Anti nukeは“anti nuclear power plant”に因んだ名前であることは簡単に想像がつきます。
海外での活動もあるのですが海外では281_AntiNukeと名乗っているそうで、スペースを消しているようです。
281_Anti nukeの活動場所と意味は?
東日本大震災(2011年)の後の福島第一原子力発電所事故の災害をきっかけに出現したということから想像できるように、281_Anti nukeの主張は「反原発、反核」です。
海外にも作品を見ることができますが、普段は主に渋谷を中心に活動しています。
なぜ渋谷なの?
・渋谷は日本では数少ないグラフィティ・アートが盛んであること
・岡本太郎の第五福竜丸が水爆で被爆した瞬間、そこからたくましく再生していく人を表現した「明日の神話」という壁画があること
が281_Anti nukeが活動場所に選んだ理由です。
なぜグラフィティなの?
東日本大震災(2011年)の後の福島第一原子力発電所事故の災害時に原子炉がメルトダウンしていた事を国も東電も発表しませんでした。
その事実を知った時に281_Anti nukeはこの怒りをどうにか行動に移すべきだと強く思ったそうです。
そして2011年の6月から活動を始め、最初はインターネットでの活動でしたが、主義主張をもっと発表していく方法として12月にはストリート・アートつまりはグラフィティ・アートの道を選びます。
このグラフィティ・アートの道を選んだ事の意味はもっと主義主張を伝えるためという事もあるでしょうが、若者の街、若者の文化にこの「反原発、反核」を訴えたかったのだと思います。
30年ほど前、夏休みには公立小学校などでも原爆に関係する映画や教育を受ける機会がありました。ですが現在はそういった活動もなく、子供達や若者はほとんど戦争もや核の悲惨さも知らないまま大人になります。
それは単に機会が少なくなっている事と無関係ではありません。
そう考えるとこのような理由もあって、281_Anti nukeは渋谷を使って、若者に「反原発、反核」の問題定義を行なっているとも思います。
281_Anti nukeの作品はどんなもの?
初作品は・・・
281_Anti nukeとしての初作品は東京電力(TEPCO)のマークを風刺したものです。ロゴにガスマスク、そしてPollutionと描かれたものです。
とても直接的で分かりやすいのが281_Anti nuke作品の特徴の一つです。
その後にも東京電力(TEPCO)のロゴマークは幾度も使われています。例えば過激なものだとTEPCOのロゴマークの丸を銃口に見立て、銃と銃口をこちらにむけている手の作品があります。添えられているメッセージは「Pay or Die」です。
初期は福島第一原子力発電所事故に対する東京電力への直接的な風刺作品が多かったのですが、だんだんと日本の政治のあり方を風刺するようになります。
それは主義主張が変わったのではなく、福島第一原子力発電所事故は日本の政治のあり方や体制が引き起こした結果であると考えるようになったからです。
そのため政治家の風刺作品も増えていきました。
281_Anti nukeは日本の在り方は偽りであり危険な状態にあり、決して日本は平和ではないと主張しています。
これからの日本を「生き抜く」というテーマが281_Anti nukeにはあります。
有名な作品は?
281_Anti nukeの一番有名な作品は雨がっぱを着た女の子のステッカーです。
渋谷の壁や電柱にカラフルな雨がっぱを着た小学校1年生ぐらいの女の子のステッカーが貼られているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか?
下に「I hate rain」と書いてあって、さらにハザードマークが入っています。
原発の放射能の影響で水溜りで遊ぶ事もできない、危険と隣り合わせである、という主張と共に、見ているとその危険性を理解していないあどけない少女の表情が対照的です。
この表現方法はずっと使われていて、小さな子供はわかっていないけれど、そこには大きな危険があるという事を表現している作品は沢山あります。
どちらかというと281_Anti nukeは今というより、今の状況を作り出した大人が死んだ後何より残された今の子供たちの未来を心配しているように感じます。
281_Anti nukeの作品の価値について
「3.11は終わっていない」という281_Anti nukeの主張を伝える手段としてのグラフィティを使っているので
「自分の作品が美術館に飾られていても、そこには何の意味もない。ストリートで主張する事に意味がある」と281_Anti nukeは言っています。
281_Anti nukeの作品は完成度も高く、アートとして魅力的なものが多いです。十分にアートとして成り立ちますが、
281_Anti nuke自身が作品をアートとして認識しているのではなく、考えを主張する手段として使っている以上、美術館に飾られると作品の持つ意味にズレが生じます。
ストリートにあるべきアートであり、ストリートにあることで初めて意味をなし、価値が生まれるのが281_Anti nukeの作品なのだと思います。
※281_Anti nukeの作品はFacebookで検索することができます。