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バンクシー

バンクシーとは?BANKSYって誰?日本の「バンクシーのネズミ」は本物なの?「ネズミ」の意味は?!ついにバンクシー展が日本に来る!

バンクシーって誰なの?日本で発見された「ネズミ」はバンクシーの作品なの?その「ネズミ」の意味ってどんなことなの?ということを考察しました。


バンクシーって何者?

バンクシーはBANKSYと書きます。バンクシー はストリート・グラフィティ・アーティストと位置付けられています。イギリス人男性で本名や生年月日は非公開です。バンクシーは複数のアーティストからなる集団なのではないか?という見方もあります。

グラフィティ・アートにおいて、バンクシーは型紙を当ててその上からスプレーをして描く手法を多く用いています。その理由の一つはグラフィティは公共の壁などに短時間で警察や人々に見つかる前に描きあげる必要があるためとも言われています。

難民問題、資本主義への抵抗、反戦運動、富裕層への批判などバンクシーの視点は常に弱者と言われる方の立場にあります。富裕層を揶揄するようなブラックユーモアを含んだ作品は、見る人が「なぜ?」から思想を巡らし「そうだ!」と共感を得られる物語性の高い作品です。

「バンクシーだ」と言われている人は?

1973年7月28日生まれのイギリスのロビン・カニンガムが一番有力とされています。これはバンクシーと名乗る前の時代のグラフィティ仲間たちからロビン・カニンガムがバンクシーであるという情報が流れているからです。

あとはブリストル出身のバンド「マッシブ・アタック」のロバート・デル・ナジャ(1965年1月21日)の名前があがっています。ロバート・デル・ナジャの作品とバンクシーの作品が似ているという事実はあります。

ロバート・デル・ナジャは1980年代にアメリカからブリストルにHIP HOPとグラフィティーを持ち込んだアーティストです。

ロバート・デル・ナジャがバンクシー でないとしても、ロバート・デル・ナジャがバンクシー に多大な影響を与えているのは事実です。実際バンクシー自身もロバート・デル・ナジャから影響を受けていると語っています。

マッシブ・アタックの公演のある所、ロバート・デル・ナジャの移動する場所にバンクシー が出没するという情報もあります。でも本人がバンクシーではないと否定していますし、本当の所は分からないですね、

グラフィティ・アートとは?(バンクシー を楽しむためのマメ知識)

グラフィティ・アートとは一言で言えば『落書き』です。1960年代頃からアメリアでグラフィティは活発になり、1980年初頭にはイギリスのブリストルへ伝えられていきました。

スプレーマーカーで壁などに描かれた『落書き』がグラフィティ・アートです。壁や電車に落書きされているものを誰でも容易に想像できると思います。

日本でとても一般的で有名なグラフィティ・アーティストはキース・ヘリングジャン=ミシェル・バスキアでしょうか。

落書きが評価されるとキース・ヘリングは企業と提携し、商業主義へと道を変え、ジャン=ミシェル・バスキアは芸術の世界へ進出していきました。

『落書き』というグラフィティの世界から新天地へ出ていく者たちとは逆に、バンクシーはアーティストとして認められても、グラフィティ・アーティストのままそこに留まっています。

この強く一貫した主張を貫き通す姿勢がバンクシーの強烈な魅力のひとつですね。

『落書き』とグラフィティ・アートの違いは?

不思議ですよね。『落書き』なのに『アート』と評価される事が。私もそこのボーダーラインはいつもあやふやで頭で理解するのには難しいです。

そこに明確な違いはないと考えます。絵や文字に込められた主義主張が見た人の心を捉えて、見る人が立ち止まり心動かされた瞬間にそれは『落書き』から『アート』となりそれを超えた力を持ちます。

軽々とボーダーラインを超えるところが芸術作品の素晴らしさのひとつですね。絵に値段をつける人々に評価されるかされないかは『アート』という観点からは必要のない要素なのだと感じます。

バンクシーの台頭後の現在もグラフィティ・アートの芸術的価値が認められたという事はありません。グラフィティ・アートが素晴らしいというよりは、バンクシーのグラフィティ・アート作品だから素晴らしいのだ、という風潮は否めません。

日本のバンクシーらしき作品は「ネズミ」!

日本でバンクシー が有名になったのは2019年の1月17日に小池百合子都知事「あのバンクシーの作品かもしれないカワイイねずみの絵が都内にありました! 東京への贈り物かも? カバンを持っているようです」とツイートしたことに始まりました。

「バンクシー が日本にも作品を残したのか」というニュースが駆け巡りました。このニュースを覚えている方も多いのではないでしょうか?

場所は港区のゆりかもめの日の出駅近くの防潮扉の隅に、ステンシルで描かれた傘をさした「ネズミ」が見つかったのです。ニュースを見た人で駅がパニックにならないように、実際はツイートの前日に防潮扉は撤去されていました。

「ネズミ」は屋外で雨風にさらされていた事もあって、色自体も薄くかすれていましたし、バンクシーの作品の特徴で何かの意図を感じるほどヘビーな表現もなかったので、最初はこれは偽物だと感じる人も多かったと思います。

しかし、


○バンクシーは2002年に大阪で展覧会を開いていて来日している可能性が高い事。

○2005年ごろまでバンクシーはネズミの作品を多く残している事。

○バンクシーの最初の作品集に「2003東京」という説明書きと共に載っているネズミの作品を反転させると、東京のネズミの作品とネジの部分も全てピッタリと合う事。

などの理由からバンクシー作品である可能性がとても高いです。

また、港湾局の職員の「約15年ぐらい前にはネズミは存在していた」(2019年当時)という証言もあるそうなので、ネズミが描かれただろう時期がかなり前で、ステンシルが雨風にあたりかすれているという事にも納得ができます。

実はバンクシーの作品かどうか調べて保証する「ペストコントロール」という組織があり、そこにバンクシー作品かどうか問い合わせているそうですが、「バンクシー作品である」という返事は来ていないそうです。

でも上に述べてきた理由によって本物であるというのが私の意見です。

ちなみにペストコントロールというバンクシーが設立したバンクシー作品かどうかを調べて保証する機関ですが、ストリート作品に関しては本物かどうかは認証していません。ペストコントロールは「合法的なアート作品のみを取り扱い、いかなる違法行為にも関与しない。」と明言しているからです。

なので東京の「ネズミ」はストリート作品に分類されるため、ペストコントロールに真偽を問うことはあまり意味がないように思います。

「ネズミ」は本物だけどバンクシー が自分の作品だと認めない理由は?

仮に「ネズミ」が本物だとして、作品は本物だけどバンクシー作品と認められない状況はどういう状況なのか?を考えてみました。そうすると意外と単純な理由に辿り着きます。

バンクシー作品はグラフィティだからです。

描かれた絵だけが作品なのではなく、“そこにある物にその時の状況に関する主義主張”をユーモアを混ぜて描くことがグラフィティ・アートです。特にバンクシーはその意味合いの強いグラフィティ・アーティストです。

そこに描かれることに意味をみいだしていたのに、違う場所に絵だけが持っていかれ、保管されてしまったら、どうでしょうか?

作品としての力も伝えたかった意図も全てが中途半端になり、バンクシーは「ネズミ」を作品として発表する意味もなくなってしまったのではないでしょうか。

「ネズミ」が保存のために撤去された時点で、バンクシーの意図を汲んだ作品として成り立たないと思われます。

なぜ「ネズミ」だったのか。その意味を考える。

東京湾の防潮扉に「ネズミ」を描いたバンクシーは何を思って描いたのでしょうか。

バンクシー はネズミの作品を多数描いています。そしてそのネズミというのはアニメに出てくるような可愛らしいハツカネズミなどではないのです。

バンクシーの描くネズミは害獣とされる「ドブネズミ」です。人から忌み嫌われて追い払われる存在です。

なぜ可愛らしいネズミじゃなくて嫌われている容姿も可愛くないネズミを選んだのでしょうか?

元々、ドブネズミの存在は悪い生き物ではないのです。地球上でいらない動物などないはずなのです。そしてネズミは働けども働けども楽にならない労働階級の人々の代名詞としてバンクシーは使っていると思います。

共存という道ではなく、富裕層は自分たちが健康に安全に暮らすために、せっせと労働階級の人々を働かせています。

前にも書きましたが、バンクシーはいつも弱者の立場から物事を見て作品にしています。この場合の弱者はドブネズミ=労働階級の人であるとも考えられます。

日本は中流家庭が多いと言われていますが、現実にはバブルが弾けた頃から日本はアメリカの資本主義と同じように貧富の差が急速に開いていっていて、今はそのスピードがさらに上がっています。

傘をさし、バッグを持ち、少し寂しげな雰囲気の表情を感じさせる「ネズミ」は、自分では中流層と思いながら実は回し車を回し続けるネズミのように働き続ける人々であり、バンクシーはそんな日本の社会構造に疑問を投げかけているように私は感じました。

そんなネズミが描かれるべき場所が台風など緊急事態のときには閉められる防潮扉の端でした。

これも普段は何の問題もなく暮らせるから気がつかないけれど、実はこんな事態に君たちは直面しているんじゃないか?と問われているような気がします。

結局「ネズミ」はどこへ?

東京都が保存と保管を目的に撤去した「ネズミ」ですが、2019年の11月25日から日の出ふ頭2号船客待合所に展示されることになりました。

「日の出ふ頭の賑わい向上にも資することから、なるべく元の場所に近く」と考えてこの展示方法になったそうです。

完全にバンクシー作品の意図を無視した作品の扱いをしているので、小池都知事は「バンクシーさんご連絡をくださいね」などと言っていましたが、これで絶対にバンクシーからの連絡はなくなったのではないかと思いました。

バンクシーの作品ではないか?というものは他にも数点ありますが、有力なものは「ネズミ」だけかと思います。

バンクシー展で本物の作品が見られる!

バンクシーのグラフィティ・アート作品は公共物の壁などに描かれるので、塗り潰されてしまう事もしばしばあります。今回のバンクシー展は、バンクシーの作品コレクターの所有する版画やオブジェなど、70点以上が来日します。

きっとバンクシーの主義主張を探り、考え、時に共感することで、「作品を観るというよりは体験する」といった時間を過ごせるのではないでしょうか?

バンクシー展「天才か反逆者か」
開催期間:2020年3月15日〜9月27日
場所:横浜 アソビル(神奈川県横浜市西区高島2-14-9 アソビル)

バンクシーは来日するのでしょうか?

その時に日本にまた何か爪痕を残していくのでしょうか?それを想像するだけでワクワクします。

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