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バンクシー

バンクシーの人気作品「風船と少女」はひとつじゃない!「風船と少女」シリーズとは?

BANKSY(バンクシー )の有名で人気のある作品「風船と少女」はひとつではなく色々なシーンに対応して複数の作品が発表されています。その「風船と少女」シリーズをご紹介しています。


「風船と少女」とは

最初に描かれたとされる「風船と少女」は2002年にロンドンのウォータールー橋に続く階段の壁にステンシルという方法で描かれたバンクシーのグラフィティアートです。これは2004年に撮影された写真が残っています。

ハート型の飛んでいく赤い風船小さな女の子が手を伸ばしているものです。女の子の髪やスカートが風になびいているので、その風が強いことがわかります。

その風によって女の子から風船が離れていってしまったのか?それとも風で飛んできた風船に手を伸ばしているのか?見る人によって感じ方は違うと思いますが、想像力を掻き立てられる構図になっています。

女の子がモノクロームであることに対して風船は目に飛び込んでくるような真っ赤です。黒と赤のコントラストなど作品の完成度としても高く、これも人を惹きつける要因の一つでしょう。

「風船と少女」のグラフィティは色々なパターンがあり、当時のロンドン周辺に数点描かれたそうですが、現在は全て塗り潰されてしまっています。

バンクシー作品を消すなんて!!と思われる方も多いでしょうし、私としても残念ですが、それがグラフィティ・アートの宿命であり、予測された自然の流れでもあるように感じます。

イスラエルの「風船と少女」とは?

「風船と少女」といえば思い浮かべるのはロンドンのウォータールー橋に続く階段の壁に描かれた代表的な作品ですが、イスラエルにも「風船と少女」作品が描かれました。

それはロンドンの「風船と少女」とは違うものです。少女が風船から出ている紐を掴んでパレスチナ自治区とイスラエルを分断する壁を乗り越えて行くというもの。

ロンドンの「風船と少女」では風船の紐に手を伸ばしている少女が描かれているのですが、パレスチナ自治区の分断壁に描かれている少女はしっかりと風船の紐を握り、瓦礫と銃で破壊されていく街からの脱出に成功しているかのような構図になっています。

風船は希望であり未来であり、子供たちがそれを掴み現実を乗り越えて行くことを強く望むバンクシーの思想が強く反映されています。この作品はイスラエル西岸地区のラマラという街にあったようです。

しかしこの分断壁のグラフィティは日々更新されていて、バンクシー作品も例外でなく上書きされています。最初の「風船と少女」は現存はしていないと思われます。

現在も分断壁に「風船と少女」が描かれているグラフィティはあるのですが、それが本物であるのかは分かっていません。

ただそこに同じ想いが繋がっていて、バンクシーでない人物がそこに描いているのだとしたらそれもまたバンクシーの素晴らしさでもあると感じます。

シリア紛争と「風船と少女」

2014年に3年に渡るシリアの内紛に対する反戦キャンペーンとして、バンクシーは新しく「風船と少女」を描きあげました。

それは「シリア難民の少女と風船」がロンドンの「風船と少女」と同じ構図で描かれています。

「#WhithSyria」というハッシュタグと共に反戦キャンペーンが繰り広げられました。サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手や歌手のジャスティン・ビーバーなどの有名人が参加して世界的なムーブメントとなりました。

赤い風船は「希望である」とバンクシーの公式ページで表明されています。

赤い風船は少女を現在の内戦のカオスから救い出す希望なのです。強いメッセージ性で社会を動かそうとするバンクシーの想いを感じました。

バンクシーの作品は難解ではなく、とても分かりやすく訴えていることを明確に伝えてきます。そして弱者の視点から描かかれていることで、とても浸透しやすくなっていると思います。

ユニオンジャック柄の「風船と少女」

2017年にイギリスの選挙においてバンクシーは風船の柄をユニオンジャック柄にした「風船と少女」を発表しています。

これはグラフィティではなく、公式サイトで無料で配布されました。ただ購入できるのはその選挙の有権者のみで、しかもさらに労働党への投票した人で労働党に投票した用紙の写真を送った人に限定されました。

バンクシーはこれは娯楽の範疇であり、価値のないアートワークをプレゼントしていると公式ページで注意書きを載せていましたが、

選挙管理委員会から選挙に影響を与えるという警告を受けで、キャンペーンは中止になっています。

バンクシーのアートワークで価値がないということは、あり得ないと思うのでこの表明は流石にちょっと無理があります。

しかしEU離脱にもとても強い関心を寄せて、色々と作品を発表しているバンクシーには国政を黙って見ているつもりはまるでない、といった強い気持ちを感じますね。

バンクシーの魅力として、こういった前後を考えずに強い意志表明ができるところがあります。

これは匿名であるからこそできると言われたらその通りですが、それでも時代の流れの中で間違っていると感じたことを声を大にして間違っていると言えることは素晴らしいことだと思います。

そしてバンクシーの作品に観衆はちゃんと反応するのですから、バンクシーのしている事はやはり唯一無二の活動であると私は思います。

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